AI clones in conversation at academic conferences

Shunichi Kasahara
Nature Sensors 2026

Article (Nature Sensors)

AIクローンは、出版社と研究コミュニティをつなぐ、科学コミュニケーションの新たなインターフェースになるかもしれません。ソウルで開催されたNatureの学会では、Nature SensorsのChief EditorらのマルチモーダルなAIクローンが、論文出版やキャリアについて、研究者と3つの言語でリアルタイムに対話しました。

学会に登場した編集者のクローン

学術誌の編集者は、出版社と研究者をつなぐ重要な窓口です。研究者は、どの学術誌に投稿すべきか、査読はどのように進むのか、ときにはキャリアについても相談します。しかし、編集者が対応できる人数には限りがあります。私たちのCircular Interactive AI Clone(CXC)は、特定の人物の外見、声、話し方、専門知識、価値観を備えたマルチモーダルなAIクローンを生成するシステムです。会話を分析して本人に返し、本人がその内容を踏まえてクローンを更新できます。

Nature SensorsとSpringer Natureとの協力により、2026年4月13日、ソウルの延世大学で開催されたNature Forum on the Future of Sensing Technologiesで、初めてCXCを導入しました。この学会はNature Sensorsの創刊を記念するものでした。4台の端末で、Nature SensorsのChief EditorであるOlga Bubnovaと、Springer NatureのVice President of Content InnovationであるHenning Schönenbergerのクローンを稼働させ、韓国語・英語・日本語で参加者と対話しました。1日の学会で148セッション、804メッセージを記録し、このうち106セッションで実際の会話が行われました。

最も多かった話題は投稿相談でした。腫瘍検出センサーを研究するある研究者は、Olgaのクローンと約16分間話し、投稿前の問い合わせについて助言を得ました。また、水分解触媒の研究について尋ねられると、クローンはNature Catalysisを勧めました。研究者がコーヒーを飲みながら編集者と交わす5分ほどの会話を、クローンなら、複数の参加者を待たせず、それぞれの言語で同時に行えます。

情報提供から個人的な対話へ

クローンは、正確な回答以外の点でも評価されました。ある大学院生がOlgaのクローンに「あなただけが話せること」を求めると、クローンは研究者から編集者になるまでの経歴を語りました。このセッションは、参加者アンケートのすべての項目で最高の評価を得ました。Olgaと長年の付き合いがある同僚は、クローンを通じて創刊への祝意を伝えました。Henning本人は会場にいませんでしたが、そのクローンは最長10分にわたる議論を交わしました。Olgaのクローンに相談した後、本人と直接話しに行った参加者もいました。「本人と話す準備ができたと感じる」というアンケート項目に最高評価を付けた参加者が複数おり、クローンが会話のきっかけを作れる可能性を示しています。

科学コミュニケーションを循環させる

クローンが多くの研究者と話し、どの研究が投稿に向かっているのか、コミュニティが何を疑問に思い、どのニーズが満たされていないのかを知る。その情報が本人に返されることで、本人とクローンの双方が変化していきます。一方、論文出版は今も一方向の発信にとどまっています。大規模言語モデルによって、読者は以前より簡単に論文について質問できるようになりましたが、その問いは著者には届きません。著者のAIクローンが読者と対話し、その疑問や関心を著者に返せれば、論文出版は一方向の発信から対話へと変わるでしょう。 人が監督する仕組みを組み込むことで、クローンは科学コミュニケーションを循環させる可能性があります。

課題も残っています。現状のクローンは、特定の論文を精査したり、正確な書誌情報を返したりすることができません。クローンと本人の同一性をどう保証するか、対話データのプライバシーをどう保護するか、透明性のある運用・管理をどう実現するかは、未解決の問いです。アイデンティティの分断、真正性、依存といった倫理的な問題も、学術出版の信頼性に直接関わります。

Reference

Shunichi Kasahara. 2026. AI clones in conversation at academic conferences. Nature Sensors 1, 7 (June 2026), 567–568. https://doi.org/10.1038/s44460-026-00089-1

BibTeX
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  author    = {Kasahara, Shunichi},
  title     = {AI clones in conversation at academic conferences},
  journal   = {Nature Sensors},
  volume    = {1},
  number    = {7},
  year      = {2026},
  pages     = {567--568},
  publisher = {Springer Science and Business Media LLC},
  doi       = {10.1038/s44460-026-00089-1}
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