Speedup After Agency EMS training

Preserving Agency During Electrical Muscle Stimulation Training Speeds up Reaction Time Directly After Removing EMS

Shunichi Kasahara, Kazuma Takada, Jun Nishida, Kazuhisa Shibata, Shinsuke Shimojo, and Pedro Lopes
ACM CHI 2021

UChicago Human Computer Integration Lab(Pedro Lopes、Jun Nishida)、Kazuhisa Shibata(理化学研究所CBS)、Shinsuke Shimojo(Caltech)との共同研究です。

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概要

モーター駆動の外骨格や電気的筋刺激(EMS)を用いたウェアラブル機器などの力覚提示装置には、人自身の反応時間(RT)を短縮できるという特徴があります。しかし、これまで検討されてきたのは装着中の効果であり、装置を身体から外した後にも速い反応が続くかは、ほとんど分かっていませんでした。そこで、LEDが光ったらすぐにタップする単純反応時間の実験を行いました。条件は、LED点灯と電気刺激を同期させるfast-EMS、本人の反応より40 ms早く刺激するagency-EMS、本人の反応より遅く刺激するlate-EMSの三つです。agency-EMSのタイミングは、先行研究で行為主体感が保たれると示されています。結果として、agency-EMSで訓練した後にだけ、反応時間が約8 ms、最大20 ms有意に短縮しました。これは、EMS訓練で行為主体感を優先することが運動適応の鍵であり、装置を外した後にも速い運動応答を可能にすることを示唆しています。

装置を外しても反応は速いままか

外骨格や電気的筋刺激(EMS)といったウェアラブルな力覚提示装置は、人の身体を動かすことができ、身体技能の学習支援にも使われてきました。EMSは、本人の反応より先に指を動かすこともできます。本人の動作に先行する一定の時間範囲内で刺激すると、動きを早めても自分で動かしたという感覚が残ります(Preemptive Action)。ただし、これらは装置を身につけた状態で調べられていました。本研究では、EMSによって動きを早めた訓練を受けた人が、装置を外した後も速く反応できるかを問いとしました。

EMSで駆動される動作は、自発的な練習とは異なり、自分で動くのではなく動かされるため、動作に対する行為主体感が弱まったり失われたりします。私たちは、速さが訓練後にも残るかどうかを行為主体感が左右すると考えました。自分が行ったと感じられない動作は、上達しにくいのではないかという仮説です。

行為主体感を保つタイミングを探る

参加者は台に手を置き、LEDが点灯したらすぐに薬指でアルミ棒をタップしました。静電容量センサーで、1 ms未満の遅延で反応時間を測定しました。薬指を曲げる筋肉に取りつけた電極からEMSを与え、同じタップ動作を起こせるようにしました。

Photo of the setup: a hand in a holder with an LED and a touch sensor, EMS electrodes on the forearm and an EMS device; a side-view drawing of the ring finger above an aluminum bar connected to capacitive sensing
(a)LEDが点灯すると、参加者は薬指でタッチセンサーをタップする。EMS電極でも同じ動作を起こせる。(b)側面図。指の下に、静電容量センサーに接続したアルミ棒がある。

最初の実験では18名が課題を行い、LED点灯の100 ms前から300 ms後までのランダムなタイミングでEMSを与えました。タップごとに、自分で行ったと思う程度を1(自分では行っていない)から7(自分で行った)で評価してもらいました。本人の平均反応時間は約204 msでした。本人の反応よりEMSがどれだけ早く指を動かしたかを示す「先行量」に対し、各参加者の評価を曲線で近似しました。40 msの先行量では、18名中15名が尺度の中点を上回る行為主体感を保ったため、本実験では40 msを行為主体感を保つタイミングとして採用しました。

Logistic curves of normalized agency score against preemptive gain from 300 ms to -200 ms, one curve per participant; agency falls as the EMS comes earlier
実験1:EMSが本人の反応より先に指を動かした時間(先行量)と、行為主体感(0〜1に正規化)の関係。各曲線は、参加者ごとのロジスティック近似。

三つのEMS訓練条件

本実験では、同じ参加者のうち17名が三つのEMS条件で訓練しました。

  • fast-EMS:LED点灯と同時にEMSで指を動かす。タップは非常に速いが、行為主体感はほとんど、またはまったくない。
  • agency-EMS:本人の反応時間より40 ms早くEMSで指を動かす。行為主体感をある程度保ちながら、動作を早める。
  • late-EMS:本人の反応時間より後にEMSを与える。参加者は自分でタップするため、行為主体感は十分にあるが、動作は早まらない。

三条件を比べることで、訓練後の反応の短縮につながりうる二つの要素を分けて検討できます。速く動かされた経験(fast-EMS)と、その動きを自分の行為だと感じた経験(late-EMS)です。両方を備えるのがagency-EMSです。各条件の実験は3日間の間隔を空けて別の日に実施し、順序の偏りを相殺しました。EMSなしの反応時間を、訓練前と、2回のEMS訓練ブロックそれぞれの後に測定しました。

Timelines of the three conditions: in fast EMS the stimulation coincides with the LED; in agency EMS it comes after an offset but before the participant’s own tap; in late EMS it comes after the tap
三つの訓練条件。(a)fast-EMS:最速だが行為主体感はない。(b)agency-EMS:行為主体感をある程度保ちながら速くする。(c)late-EMS:速くはならないが、行為主体感は十分にある。

行為主体感を保った訓練でのみ、反応の短縮が残った

EMSを外した後も反応が速かったのは、訓練中に行為主体感が保たれた場合だけでした。agency-EMSの後は、EMSなしの反応時間が約8 ms、最大20 ms短縮しました。一方、行為主体感なしに動作を早めたfast-EMSと、行為主体感はあるが速さは変わらなかったlate-EMSでは、有意な短縮が残りませんでした。

agency-EMS後の短縮量は平均8.1 msで、ゼロと有意に異なりました。fast-EMSの3.9 msとlate-EMSの−0.9 msは、ゼロとの有意差がありませんでした。三条件間にも有意差があり、agency-EMSの短縮量はlate-EMSより大きい結果でした。

Line plot of reaction time gain for fast-EMS, agency-EMS and late-EMS; each participant is a colored line, the average is a black line peaking at about 8 ms for agency-EMS, marked p = .001
訓練前後の、EMSなしの反応時間の変化。色のついた線は各参加者の短縮量の中央値、黒い線は平均を示す。ゼロと有意に異なったのはagency-EMS後だけだった。

約8 msの短縮は、わずか30回または60回のEMS訓練から生じました。先行研究では、3週間の練習による単純反応時間の短縮は約20 msでした。テニスの速いサーブなら、8 msの間にボールが約0.5 m進みます。

適応に行為主体感が関わる理由

インタビューからは、条件によって体験が大きく異なることが分かりました。fast-EMS後には、ほぼ全員が自分の動きよりはるかに早くEMSを感じたと話しました。「指が完全にEMSで動かされていると感じた」という声や、3名からは「EMSの方が自分より速いと分かっているので、自分で動かす意欲を失う」といった報告がありました。agency-EMS後には、実際には先行しているEMSが自分の動きと同時に来るように感じたと語られました。「自分のタッチでも速く触れられると感じられ、前向きに受け止められた」という感想もありました。

これらの発言は、運動学習の研究でも指摘されるように、過剰な支援が必ずしも有益ではないことを示しています。結果は私たちの仮説と整合的です。速められた動作が自分の行為だと感じられると、参加者はそれに適応し、EMSを外した後も反応の短縮が残りました。より速い反応への適応に、行為主体感が重要な役割を果たすと考えられます。

訓練から応用へ

この知見は、短期的な反応の短縮が役立ち、複雑な判断の予測を要しないインターフェースに適しています。例えばビデオゲームの「パワーアップ」で、キャラクターの射撃を速くする代わりに、先行するEMSでプレーヤー自身の指を速くします。パワーアップを集めることが訓練にもなります。脚へのEMSで速いスタートを身につける短距離走の訓練も考えられます。外骨格など他の力覚提示装置にも効果が広がるか、長期の訓練で定着するか、動きを早められながら判断も行う場面で行為主体感がどう関わるかは、今後の課題です。

CHI 2021での講演

Reference

Shunichi Kasahara, Kazuma Takada, Jun Nishida, Kazuhisa Shibata, Shinsuke Shimojo, and Pedro Lopes. 2021. Preserving Agency During Electrical Muscle Stimulation Training Speeds up Reaction Time Directly After Removing EMS. In Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ’21). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, 1–9. https://doi.org/10.1145/3411764.3445147

BibTeX
@inproceedings{10.1145/3411764.3445147,
  author    = {Kasahara, Shunichi and Takada, Kazuma and Nishida, Jun and Shibata, Kazuhisa and Shimojo, Shinsuke and Lopes, Pedro},
  title     = {Preserving Agency During Electrical Muscle Stimulation Training Speeds up Reaction Time Directly After Removing EMS},
  booktitle = {Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems},
  series    = {CHI '21},
  year      = {2021},
  pages     = {1--9},
  publisher = {Association for Computing Machinery},
  address   = {New York, NY, USA},
  doi       = {10.1145/3411764.3445147}
}

Figures from the paper (Kasahara et al., CHI ’21). © 2021 Copyright held by the owner/author(s). Publication rights licensed to ACM.

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