Whose Touch is This?: Understanding the Agency Trade-Off Between User-Driven Touch vs. Computer-Driven Touch
Daisuke Tajima, Jun Nishida, Pedro Lopes, and Shunichi Kasahara
ACM TOCHI 2022
Sony CSLのSuperception Groupと、シカゴ大学Human Computer Integration Labとの共同研究です。
Paper (ACM Digital Library) · PDF
概要
外骨格や電気的筋刺激を用いた力覚提示インターフェースは、ユーザーを不随意に動かして接触させます。これをコンピュータ駆動のタッチと呼びます。強制的なタッチは行為主体感を失わせますが、先行研究ではそのタイミングを遅らせると主体感を保てることを示しました。ただし、それはユーザーとコンピュータのタッチが一致する単純な場合だけです。意図を完全に予測できるとは限らないため、実際には一致しない状況も考える必要があります。本人が意図しない結果へ強制したり、一人では得られなかった結果を支援したりすると何が起こるでしょうか。本研究では実験を通じてこれらを調べ、触覚による支援と行為主体感の間のトレードオフを扱う枠組みをまとめました。
コンピュータが指を動かすとき
外骨格や電気的筋刺激(EMS)などの触覚インターフェースは、人の身体を動かしてタッチさせられます。論文ではこれをコンピュータ駆動のタッチと呼びます。反応を速めたり、遠隔の相手と姿勢やリズムを共有したり、感情を伝えたりできます。ただし支援には、本人が動くより先に装置が動かす必要があり、そのように動かされると、自分が行為しているという主体感が損なわれます。
先行研究Preemptive Actionでは、EMSを本人の動作に近い時点まで遅らせることで、反応を速めながら主体感をある程度保てると示しました。しかし、扱ったのはコンピュータが本人の意図した位置を正確にタッチする場合だけです。意図をそこまで正確に予測できることは稀です。選んでいない答えへ動かされたり、自分では間違えたはずの問題で正答へ導かれたりした場合、それは誰のタッチなのでしょうか。
EMSを使う両手のストループ課題
二つの答えの間でためらいを生む古典的なストループ課題を改変しました。「赤い色に触れる」などの指示を300 ms示した後、文字の意味と異なる色で印刷した二つの単語を表示します。参加者は左右いずれかの手の薬指で、タッチスクリーンの対応する側をタップします。EMSなしの予備実験では、参加条件を満たした15名の平均回答時間は516 ms、正答率は77%でした。約5回に1回、間違える計算です。

本実験では両前腕へのEMSが、正答(支援的タッチ)か誤答(妨害的タッチ)のどちらかを押しました。刺激は単語の出現100〜600 ms後の七つのタイミングのいずれかです。各試行後、参加者は主体感を1(自分では行っていない)から7(自分で行った)で評価し、15名から1,680試行分の評価を得ました。本人も答えを選ぶため、人とコンピュータのタッチは一致または不一致となり、結果は成功または失敗になります。

誰の動きなのか
動作を自分のものと感じるかは、EMSのタイミングだけでなく、自分が選んだ答えに向かう動作かどうかにも依存しました。一致していると主体感はタイミングに応じて滑らかに変わり、不一致だと誰が先に動いたかで大きく二分されました。

本人とEMSが同じ答えを選ぶと、Preemptive Actionと同様、EMSが遅いほど主体感は滑らかに高まりました。異なる答えでは緩やかな曲線は見られず、本人が先なら高く、EMSが先なら低い、段差に近い二つの水準に分かれました。EMSが支援的か妨害的かによらず、この傾向がありました。動作が対立すると、誰が行為したかを判別しやすくなります。
成功と失敗が主体感に偏りを与える
同じタイミングの同じ動作でも、結果が正しいときには、間違いのときより主体感が高くなりました。この偏りは、人とEMSの答えが一致する場合にも、不一致の場合にも現れました。
結果は、どれだけ早く身体を動かせるかにも影響します。答えが一致するとき、主体感が中間点になるEMSの開始時刻は、正答なら誤答より約50 ms早くなりました。装置の約100 msの遅延を含めても、その時点の動作(約430 ms、480 ms)は、支援なしの約500 msより早いものでした。成功を助けるシステムは、主体感をある程度保ちつつ、さらに反応を速められるということです。

結果と動作の対立が主体感を形づくる理由
よい結果に主体感が偏ることは、成功を自分に、失敗を外部の原因に帰属しやすい、よく知られた傾向に似ています。新しいのは、EMSで身体を動かされた場合にも生じたことです。論文で検討する説明の一つは後付けの推論です。行為を振り返るとき、うまくいった行為ほど自分のものとしやすいのかもしれません。
不一致のタッチで主体感が二分されるのは、動作が異なるほど手がかりに気づきやすいためかもしれません。EMSはチクチク感を生み、動かすつもりのなかった筋肉を収縮させます。意図した手では、自分の行為の結果を弱く感じる「感覚減衰」によって、両方の感覚が弱まります。一方の手だけを動かすつもりなのに両手が動くと、タッチの原因を判別できます。ただし、原因の特定には追加実験が必要です。
主体感と支援のトレードオフ
論文では、本人とコンピュータのタッチがそれぞれ正しいかどうかで四つの状況を定義し、各状況の主体感曲線を対応づけた行列を作りました。

- 共同成功:本人がいずれ行うタッチを速める。タイミングによって主体感を一部保てる。落ちるペンをつかむ、よい瞬間にカメラのシャッターを押すなど、意図を予測しやすい課題に向く。
- 強制成功:主体感と引き換えに誤りを修正する。熱い物から手を引く、障害物を避けるよう歩行を導くなど、安全が優先されるときに有効。
- 強制失敗:避けるべき状況。予測への確信が低いときは支援しない。
- 共同失敗:誤りへ向かう動作を速めると、結果による偏りで主体感の低下が強まる。ただし論文では、目前の失敗の責任を引き受けるインターフェースが、難しい訓練への意欲を保つ可能性も挙げている。
主体感を保つ設計では、人とシステムの一致を目指し、認識の確信度に応じて支援量を調整する必要があります。緊急時のように正しい結果が必要なら、強制成功を選び、主体感との交換を受け入れる設計になります。
Reference
Daisuke Tajima, Jun Nishida, Pedro Lopes, and Shunichi Kasahara. 2022. Whose Touch is This?: Understanding the Agency Trade-Off Between User-Driven Touch vs. Computer-Driven Touch. ACM Transactions on Computer-Human Interaction 29, 3, Article 24 (January 2022), 27 pages. https://doi.org/10.1145/3489608
BibTeX
@article{10.1145/3489608,
author = {Tajima, Daisuke and Nishida, Jun and Lopes, Pedro and Kasahara, Shunichi},
title = {Whose Touch is This?: Understanding the Agency Trade-Off Between User-Driven Touch vs. Computer-Driven Touch},
journal = {ACM Transactions on Computer-Human Interaction},
volume = {29},
number = {3},
year = {2022},
articleno = {24},
pages = {1--27},
publisher = {Association for Computing Machinery},
address = {New York, NY, USA},
doi = {10.1145/3489608}
}Figures from the paper (Tajima et al., ACM TOCHI 2022). © 2022 Copyright held by the owner/author(s).
- News: Our new paper from ACM TOCHI, CHI 2022 talk at the TOCHI journal session
- Related projects: Preemptive Action, EMS Speeds Up, Faster Than Muscle
